旋盤をまなぶ (メーカー編・前編)

旋盤をまなぶ_メーカー 旋盤
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この記事で学べること

旋盤導入にあたって、こだわりを持った機種選定ができる

「実はこんなメーカーもあるの?」の気付きを得られる

下記の機械メーカーは日本工作機械工業会に加入している日本の工作機械メーカーです。

前編は汎用旋盤・簡易NC旋盤・NC旋盤(タレット型)において、絶対外せないメーカーです。

後編はNC自動旋盤・立形旋盤・ロール旋盤のメーカーをまとめています。

全体の概要を知って、最適でこだわりを持った機種選定ができるようにセットでみていってください。ホームページなどには記載していない業界人だけが知る”生の情報”を記載しているので、ぜひ旋盤導入の参考にしてください。

汎用旋盤

株式会社 滝澤鉄工所

「鉄工所一家に一台」の滝澤汎用旋盤です。

変わらぬ良さの”TSLシリーズ””TALシリーズ”がラインナップあります。汎用旋盤なら、とりあえず滝澤鉄工所に相談してみましょう。

実は、簡易NC旋盤の”TACシリーズ”の方が自社の生産性アップになるかもしれません

DMG森精機 株式会社

元ワシノの”LEO-80””LR-55A”のラインナップがあります。技能オリンピックに使われていることもあり、WASINOの汎用旋盤の使い慣れがある一定層がある人気機種です。

ただ、DMG森精機がアマダからWASINOブランドを事業譲渡されてから、事業の”合理化”されたことで、汎用性旋盤部門は縮小されています。サービス体制に不安が,,,

株式会社 サイダ・UMS

純日本製を全面に打ち出して、信頼性をアピールしています。汎用旋盤には珍しく操作盤がついていて、視覚的に設定値が入力できます。また、主軸回転速度を無段階変速できることが特徴的です。ワシノの汎用旋盤に近しいハンドル配置ですかね。

株式会社 池貝

工作機械の歴史が好きで、古き良き『池貝ブランド』がお好きな方はぜひ検討ください。

簡易NC旋盤

株式会社 滝澤鉄工所

”TACシリーズ”は小型~大型サイズまでの幅広いラインナップがあります。NC装置の対話機能である『らくらく対話機能』による一品物加工の利便性はかなり高いです。

簡易NC旋盤といえば、滝澤鉄工所”TACシリーズ”が有名なことから、簡易NC旋盤は”TAC旋盤”と呼ばれることもあります。

大日金属工業 株式会社

”DLシリーズ”は中型~超大型サイズまでラインナップがあります。高剛性を売りにしていて、一般的なNC旋盤では考えられない切り込み量で加工できます。高剛性を生み出しているポイントは『ベッドと脚部の鋳物一体構造』です。旋盤にとってベッドの精度維持が生命線ですからね。

Gコード入力ができることが滝澤のTACシリーズとの差別化になることがあります。

NC旋盤(タレット型)

オークマ 株式会社

工作機械メーカーの御三家です。

”機電一体”という他社にない圧倒的な強みがあります。CNC装置もほとんどのラインナップでオリジナルCNC装置の『OSP』を採用しています。だいたいの日本の工作機械メーカーは三菱電機/FANUCからCNC装置を購入して、画面の表示方法を自社でアレンジしています。

CNC装置の特徴以外にも、安定した加工精度を出すためのアプリケーションに富んでいます。例えば、加工びびりを検知して自動で送り速度調整をする”加工ナビ”や、熱変位補正機能の”サーモフレンドリーコンセプト”です。他社でも熱検知センサを付けて温度管理しているメーカーは多いですが、補正の正確さというかリアルタイム補正の完成度はオークマが抜きん出ている印象です。

NC旋盤”LBシリーズ”がフラッグシップモデルです。

”LBシリーズ”の廉価機種である”GENOS-Lシリーズ”という機種があります。GENOS-Vシリーズは台湾の子会社である『大同大隈股份有限公司』にて生産していることから、LBシリーズに比較して安価な価格設定です。仕様内容が合えばコスパの良い機械です。

LBシリーズのNC旋盤には、熱変位補正機能”サーモフレンドリー”に熱センサーはついていません。さまざまな条件においての熱変位の知見が貯まっているからこそ、熱センサがなくても的確な補正がいれられるんでしょうね。

ヤマザキマザック 株式会社

工作機械メーカーの御三家です。

NC旋盤では、小型サイズ~中大型サイズまでのラインナップがあり、2スピンドル2ターレット機や、オープンタイプのフラットベッド型NC旋盤があったり、ひとしきりの種類があります。なので、「とりあえずマザックに相談してみる」というのもアリだと思います。(※マザックにとっての主力ラインナップじゃないと途端に高価になるのですが。笑)

マザックのNC装置”MAZATROL”による対話機能で、NC旋盤を簡単に操作できることが大きな強みです。

DMG森精機 株式会社

工作機械メーカーの御三家です。

中型サイズ~中大型サイズの”NLXシリーズ”は対応できる仕様オプションが幅広いです。また、DMG森精機に相談すれば、海外周辺機器”DMQP”も交えて高生産性のある機械を提案してくれるかもしれません。

ドイツで生産された元DMGブランドの製品ラインナップでしたり、海外周辺機器”DMPQ”の提案も受けた上で費用対効果を見出せれば、非常に生産性が上がる良い買い物ができると思います。

ただ、機能を絞ったNC旋盤ラインナップの”ALXシリーズ”は元”CLシリーズ”の後継機なのですが、一般市場価格との折り合いがつかずに、CLの更新需要を逃しているような,,,

株式会社 滝澤鉄工所

基本的に旋盤専業メーカーです。小型NC旋盤”TCCシリーズ” 、 28インチまで対応可能な大型NC旋盤”TGシリーズ”、 Y軸NC旋盤”TCYシリーズ”などのラインナップが充実しているので、旋盤の導入検討に外せないメーカーです。平行2スピンドルでは”TTシリーズ”が村田機械と並ぶブランド力があります。

平行2スピンドルの”TTシリーズ”は新機種開発において、注力されており、サイズラインナップや仕様オプションの充実化されています。

また、滝澤鉄工所オリジナル対話ソフトの『Tiwap-1』の使い勝手については、Gコード入力に慣れている人にとっては、自由度も高いし分かりやすい入力方式のように感じます。

中村留精密工業 株式会社

1スピンドルの”SCシリーズ” 、 2スピンドル2ターレットの”WYシリーズ””WTシリーズ” 、 3ターレットの”NTY3シリーズ”といった刃物台を増やしての加工時間短縮に強みがあります。

変量多品種のニーズにたいして、ワークストッカーの”箱兵衛”やガントリーローダを組み合わせてのパッケージ商品があることもメリットです。

旋削加工について、エアーバック機能による衝突干渉した後の機械ダメージを最小限にする機能が有能です。エアーバック機能とは、機内衝突した衝撃を感知してすぐにサーボモータが逆転する機能ことです。干渉防止シュミレーションでは、あくまで想定通りにワークもツールも取り付けている前提ですが、現場は想定通りにいきませんからね。

高松機械工業 株式会社

旋盤専業メーカーで、小型~中型における旋盤ラインナップ豊富ですし、また、コレット生産もしているので旋盤+消耗品のトータルで導入検討できます。

量産加工の自動化検討では、簡易構造のローダー”Σローダー”で対応できるワークなら、コスパ良い量産化検討ができると思います。

個人的に小型NC旋盤”GSLシリーズ”が圧倒的に安価でコスパがいいと思います。ただ、GSLシリーズを購入するには複数台でのロット発注をしなくてはいけないので、1台での導入検討ならロット発注している商社を探すのがオススメです。

シチズンマシナリー 株式会社

2011年にシチズンマシナリーに資本提携するまでのmiyanoブランド。

超小型サイズ〜6インチまでの中型サイズまでですが、一般的な1スピンドル1ターレットから、工程集約に有効な2スピンドル3ターレットといった旋盤まで幅広いラインナップがあります。

なにより、タレットNC旋盤でシチズンの低周波振動切削『LVF技術』を使えるというのが、魅力的だと思います。まだ、対応機種が限られていますが、間違いなく、LVFは旋盤で一番の加工懸念である”切粉”対策に有効です。他社もさまざまな呼び名でこのLVF機能を自社製品に採用していますが、現状ではノウハウの点でシチズンが抜きん出ているように感じます。

小〜中物ワークの中量生産の場合は、自動NC旋盤”Cincom”とタレットNC旋盤”Miyano”どちらがで最適な工法をとりあえずシチズンに相談するのもありかもしれませんね。

まなぶくん
まなぶくん

低周波振動切削『LVF技術』については、旋盤の最新動向 編で詳しく紹介します。

村田機械 株式会社

平行2スピンドルのクシ刃型”MWシリーズ”・対向2スピンドル2ターレット”MTシリーズ”に強みがあり、ローダー仕様が強みがある。量産加工向けです。

株式会社 エグロ

小型機に特化しています。

株式会社 FUJI

モジュール型旋盤のDLFNが特徴的なメーカーですが、平行2スピンドルのガントリー機に強みがあります。量産加工向けです。

株式会社 池貝

中型~大型サイズのベーシックなNC旋盤のラインナップです。(機能が十年前のままのような,,,)

西部電機 株式会社

超精密向けNC旋盤です。基本的には、ワイヤ放電加工機のメーカーです。

株式会社 長谷川機械製作所  ※日工会には未入会

小型旋盤に特化しています。高圧ポンプメーカーと共同で、最大30MPaの超高圧クーラント仕様の特許を出願中とのことです。切削点にたいして高圧クーラントを吹き付けることで、切粉の切断ができるので、加工条件の向上につながります。

長谷川機械製作所だけでなく、最近はさまざまなメーカーが 超高圧クーラントを採用しています。

まなぶくん
まなぶくん

汎用旋盤・簡易NC旋盤・NC旋盤(ターレット)のメーカーを紹介しました。

次回はNC自動旋盤・立形旋盤・ロール旋盤のメーカーをまとめます。

ではまた!!

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