マシニングセンタを選定するときに、自社に合ったスペックを的確に選択できる
オプションの組み合わせ次第で、独自性を持ったマシニング設備にすることができる
自社のマシニング設備を後付けでバージョンアップすることができる
パレットチェンジャー
横型マシニングセンタでは、標準で2面のパレットチェンジャーがついていることが多いですが、最近では立型マシニングセンタや5軸マシニングセンタでも対応できるメーカーが増えています。パレットチェンジャー装置は自動化/無人化運転のニーズに対して真っ先に検討される装置です。
3面以上の多面パレットチェンジャーでは、フロア式・タワー式・ラック式があります。
チップコンベヤ
切粉を自動的に機外に運び出す装置です。排出方式として、①ヒンジ式 / ②スクレーパ式 / ③スクリュー式 / ④コイル式 / ⑤プッシュバー式があります。切粉形状や素材によって、向き不向きがあります。
画像左下のカバーが開いているところに、マシニングから切粉が排出されるように設置されます。切粉を機外に排出するメリットは切粉の掻き出しがラクになること以外にも、熱を持った切粉を外に出すことで、機械の熱変位を抑えるメリットもあります。
ヒンジ式 | スクレーパ式 | スクリュー式 | コイル式 | プッシュバー式 | |
アルミ | |||||
ステンレス | |||||
鉄 | |||||
非金属 |
クーラントタンク
切削液を貯めるためにタンクです。以上です。笑
話が脱線しますが、夏場になると、職場の不快指数を一気に高める要因がクーラントタンクの水溶性クーラント悪臭です。これは、水溶性クーラント液内にカビやバクテリアが発生することで起きる匂いで、クーラント液の推奨使用期間を過ぎていたり、作動油(グリスとか)がクーラント液面に膜を貼ることが原因です。悪臭以外にも、切削油剤の性能も低下するので、加工精度や工具寿命にも影響があります。
クーラント悪臭を防ぐ対策方法です。
①切粉との分離
②油水分離装置(オイルスキマー)
③防腐剤添加物
④ph管理/濃度調整
ここら辺は別で特集すると思います。
スルースピンドルクーラント
主軸あと工具ホルダを通じて切削工具の刃先からクーラント液を流せるようにする機構です。切粉の排出と切削点の冷却効果が見込めます。特に深い穴あけ加工があるような時には、切削能率を上げることができます。
スルースピンドルクーラント仕様の場合、1.5MPa以上の中圧ポンプをフルに使われることから、クーラントタンク容量は大きいサイズを選ぶ必要があります。
あと、ツールホルダ根本の”プルボルト”がスルースピンドルクーラント仕様(オイルホール付きプルボルト)の専用になるので、ご注意を!
シャワークーラント
切粉を洗い流すためのシャワーです。機内カバーに飛び散ったオイルや切粉などの処理をする日々のメンテナンス性がラクになります。加工性能に関しては、「ワーク温度の一定化」といった用途もあります。
スケールフィードバック
位置決め精度の維持や向上のための検出器です。通常の位置検出方法はほとんどのメーカーは”指令値表示”の数値表示を採用しています。ただ、指令しても実際には正しく動いていないことがあります。主に熱変位が影響してボールネジが膨張・伸縮・たわみ・バックラッシュなどがおきることによって。これでは、高精度な加工精度を出せないので、実際に動いた数値(座標値)を検出してCNC装置にフィードバックさせるので、スケールフィードバックといいます。まあ最近は、ロータリーエンコーダの取付位置を工夫したりすることで、指令値と座標値のズレは少なくなってきています。
目安は、「0.0001mm精度も正確に安定して検出したい」という場合が必要になるでしょう。
油圧装置/空圧装置関係
油圧はATCやパレットチェンジの駆動源になっています。最近はATCをサーボモータ駆動にする傾向があり、油圧装置がないことも結構ありますね。
空圧装置は切粉飛ばしのためのエアガンや、ATC交換時のホルダシャンクの清掃やスルースピンドルのエアなど、たくさんの機構に使われています。機械のオプション内容次第で必要なエアー容量が大きく変わってくるので、オプション選定し終えた後に、エアー合計の容量は確認しておきましょう。エアー不足でのエラー発生はあるあるですから。
ワーク自動計測 / 工具自動計測
この2つのオプションは高精度化/自動化の手助けになるオプションです。
ワーク自動計測とは、3次元測定器で使われるようなプローブをマシニングセンタに持たせて、機上で計測をします。素材の芯だしだけでなく、加工後の製品測定をします。またマクロプログラムを組めば、「公差から外れていた場合に自動で追加工をする」といった自動化を図ることもできます。ワーク自動計測は、機械の位置検出精度や熱変異に影響してしまうので、スケールフィードバックをつけたり、熱変異を抑えるためにクーラントをしばらくかけてから測定するといった工夫をすることで、最大限の効果を発揮できます。
工具長自動計測は2つのパターンがあります。
スイッチ式:工具の折れを検出する程度の測定器です。安価に設置できることがメリットです。
レーザー式:工具の摩耗や欠損を検出することができる測定器です。ただ、高価ですしクーラント液の影響を受けてしまったりする繊細な装置です。
潤滑剤の自動給脂装置
摺動面・リニヤガイド・ボールネジは絶えず擦れ合って摩擦しています。摩擦・摩耗をへらすためには、潤滑油が必要不可欠です。各軸への潤滑油の供給を自動でやってくれる装置が自動給脂装置です。
工作機械の潤滑剤にはおもに2種類があります。メリット・デメリットに合わせた自動給脂装置を取り付けましょう。
メリット | デメリット | |
オイル式 | ||
グリス式 |
あとは、状態表示灯といった細々したオプションを見直したり、
ハード的な仕様とCNC装置のオプションのすり合わせをすればばっちりです!
次は各メーカーの特徴紹介です!
ではまた!
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